今回のお話は、住まいを支える土台について。

在来工法・2X4工法問わず土台材には『注入土台』という材木が使われていますが、薬剤を使うということは使わなければ土台に使用できない木?薬剤の安全性は?という疑問についてお答えします。

土台材はコンクリートの基礎と構造をアンカーボルトで緊結し、さらに家全体の重量を支える重要な構造材です。適度な硬さと湿気や虫害に強い材木でなければなりません。住宅の土台材のほとんどに注入土台と呼ばれる材木が使われていますが、日本の気候では本来土台材で使用することはない材種、ベイツガ、ベイマツ、またはこれらの集成材に、防虫剤や防腐剤の薬剤(ACQ=銅・アルキルアンモニューム化合物)が浸透しやすいようミシン目をつけて人工的に加圧注入させたもの。薬剤の効果が失われる、もしく切断面やほぞ穴加工した際露出した薬剤の未浸透部分を適宜処理しなければ、床下の湿気やシロアリなどの影響で被害に遭いやすくなります。一般的にハウスメーカーや工務店では新築後5年から10年の保証が一般的。それ以上効果のある薬剤の使用は国で認めていないため使用できないとされています。材木に注入される薬剤のACQは公園の遊具木材やウッドデッキ材などに利用できるほど安全性は高いといわれていますが、開放された空間での使用と比べて、住宅のつくりや建材の条件によっては複合的な化学物質となる可能性もゼロではないことも考えなくてはなりません。

建築後のシロアリ消毒作業は構造的に難題が多く、施工しにくいところ(浴室廻りや玄関廻りの土台周辺)やノズルを挿入する穴をあけたりしないと施工ができないところ(床下がない玄関やポーチ柱等)があり、きちんと処理ができたのかどうか確認できないなど防蟻施工者の技術や能力が求められます。建築後、シロアリ消毒にかかる費用は、一般的に1階床面積1平方メートルに対して¥2,000〜¥4,000程度。1階の床面積が50平方メートルの住まいだと10万円〜20万円と結構な金額になります。


土台材として最適な木材は何か。耐久性や耐虫害性、加工性、流通、価格などトータルで考えると桧の土台が最適となりますが、シロアリや湿気に強いのは芯材(赤身)部分ですから、桧なら何でも良いわけではなく、辺材(白太)部分が無い、もしくは極めて少ない特赤材に限ります。桧材そのものにシロアリの忌避成分が含有されており、さらに天然乾燥で充分に枯らせて用いることで成分は凝縮します。とはいえ、「絶対にシロアリに食べられることはないのか?」というわけではなく、長期間高湿度な状態におかれる、土などの有機物に接触し続ける(住宅ではあまりないですが・・・)、など状況によっては食害される可能性があるのも事実ですから、防湿フィルム敷設のべた基礎はもちろん、基礎高さを上げる、床下の換気をよくする、物置の設置場所を考えるなど複合的に工夫することでリスクを回避することができるでしょう。桧材でも機械的に乾燥させる人工乾燥材は木材繊維にダメージを与え、本来必要な樹脂成分も抜けてしまいますので向いていません。土台材としては栗が最上ですが国産栗は流通しておらず、青森ヒバや能登アテも適していますが、流通量が少ないため木材単価が高い(高すぎる?)など考えると「桧の4寸角特赤材」が最適でしょう。

注入土台と桧土台の価格(平成27年8月現在相場)
ACQ注入土台   120mm x 120mm x 4,000mm ¥6,900.-
桧特赤土台(天乾) 120mm x 120mm x 4,000mm ¥12,000.-
土台材の使用本数は1階床面積1平米当り0,5〜0,6本、1階床面積が50uの住宅で25本〜30本使いますから、27本と仮定した場合
注入土台 ¥186,300.-
桧土台  ¥324,000.-
桧の土台にすると差額でプラス¥137,700.-となりますが、新築後、シロアリ消毒を一度施工しただけの価格と変わらなくなります。

手放しで住まいを長持ちさせることはできませんが、はじめに材料を吟味したり、工夫したつくりにすることで、あとあとのメンテナンスが安く済む、もしくは回数を少なくできるなどメリットがうまれます。家を建てる時には先のことまで考えることは難しいですし予算も限られています( 天然乾燥の桧の特赤土台はピノキオ工房標準仕様)。構造材はあとで取り替えることが出来ない、取り替えることが非常に難しい部分ですから素材選びはとても大切です。

 「何事も土台が肝心!」

人に、環境に、家計に
やさしい家づくりの話
A

  8月20日掲載

タウンニュース記事の解説                        

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